理事長所信

 第70 代理事長

松浦 力

2025 年度スローガン

才華爛発
~その先の可能性を拡げよう ~

基本方針

1.未来を切り開く JAYCEE を目指して
2.地域の未来を創造する
3.持続可能な平和と 次世代のリーダー
4.時代に即した組織を目指して
5. 創立70 周年

はじめに

1949年、戦後の混乱した状況の中で、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という強い想いを抱いた青年たちによって、日本青年会議所は誕生しました。この想いが全国各地に広がり、1955年7月16日島原青年会議所は全国で71番目の青年会議所として誕生し、「明るい豊かな社会」の実現のために、これまで多くの運動を展開して参りましたが、時代の変遷とともに地域を取り巻く状況は大きく変化してきました。長年にわたり都市への一極集中が進む中、地方では人口減少や過疎化が進み、地域社会の存続が危ぶまれる状況に加え、少子高齢化という問題をはじめ、数多くの課題を抱えています。また、この地域において過去には雲仙普賢岳噴火災害やパンデミックなど未曾有の災害をも経験しました。その様な中でも、先輩諸兄姉は決して歩みを止めることなく、地域のために献身し続け、不屈の精神で挑み続けてこられたその姿勢が今日の我々を支え、活動を続ける原動力となっています。
現代は、極めて変化が激しく未来の予測が難しいVUCAの時代だからこそ青年会議所の原点に立ち返ると共に、今を生きる我々にしか生み出せない新たな発想や運動を起こしていく必要があります。

2025年度のスローガンは、青年会議所メンバー一人ひとりの個性やスキルを存分に発揮し、組織としてより大きな力を発揮することで地域社会や組織の発展に貢献したいとの想いから、「才華爛発~その先の可能性を拡げよう~」としました。

未来を切り開く JAYCEE を目指して

青年会議所に所属するメンバーの置かれている環境や考え方はそれぞれであり、青年会議所活動に対する向き合い方も、一人ひとり異なります。したがって家庭や仕事がある中でJC活動に時間を割くことは容易ではなく、優先すべきことが他にあるのは当然です。しかし、時間を理由に曖昧にし、無難に進めてしまうことはMISSIONに記されている自己成長にはつながりません。心理学の中には、人間は未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用が働くとあります。しかし、VUCAの時代において、我々が直面する課題に対し、唯一の答えなど存在しないことがほとんどです。新たな未来を創造するには、自らが考え、行動し、その過程で得た知識や経験をもとに、最適な解を導き出す力が求められます。だからこそ、JAYCEEは、自らの手で新たな未来を創造し、行動する覚悟とどんな困難な状況においても臆することなく立ち向かい道を切り開かなければなりません。その挑戦の先には我々が目指す明るい豊かな社会が必ず存在します。

地域の未来を創造する

島原半島は、中央に雲仙普賢岳がそびえ、有明海をはじめとする豊かな海に囲まれ、島原城や温泉、湧水など、自然と歴史が融合した多様な魅力を持つ地域です。また、その自然環境と地理的な特性から、主に農業と漁業、観光業が発展してきました。しかしながら、長年にわたる少子高齢化や人口減少に伴う生産年齢人口の減少により、地域経済や労働市場等、社会的側面に多くの影響を与えています。この問題に歯止めをかけるには、自動化やAIの活用、また多様な人材の活用等、複数の側面からの対策が必要不可欠です。多様な人材の面で見ると、以前に比べ島原半島でも外国人の方々を目にする機会が増えました。外国人労働者の受け入れは、労働不足の解消に貢献するなど多くのメリットをもたらす反面、一方で地域住民とのトラブルなど、外国人全体へのマイナスイメージが形成されやすいという課題もあります。今後さらに外国人の数が増加すると予想される中、私たちが外国人に対しての価値観や文化の多様性を認め、受け入れる姿勢を持つことは、共生社会の実現へ繋がると考えます。
さらに、島原青年会議所は、一昨年には「第42回全国城下町シンポジウム島原大会」、昨年は「島原城築城400年関連事業」を開催し、地域の方々と共に島原城や城下町の歴史文化を学び、その重要性や価値、魅力を再認識してまいりました。引き続き、島原城や城下町をはじめとする島原半島の特性を最大限に活かし発信することで、地域ブランドの確立に繋げて参ります。

防災減災に関するパートナーシップの強化

昨年1月の能登半島地震、8月の日向灘地震をはじめ全国各地で地震や豪雨等の自然災害が頻発しています。近年の自然災害によるリスクの高さ、被害の激甚化が強まる中、いつどこで起こるかわからない有事に対する備えが重要です。島原青年会議所は、2019年に島原市と島原市社会福祉協議会の三者間で災害協定を締結いたしました。災害協定を基に、改めて三者間での連携を確認・強化することで、青年会議所としての役目役割を再認識し、更なる防災減災の意識向上を図って参ります。

持続可能な平和と 次世代のリーダー

2025年は第二次世界大戦が終結して80年という節目の年です。この期間、日本は平和を維持し国際協力等を通じて平和国家としての地位を築いてきました。しかしながら、近年、世界各地では戦争や紛争が頻発し、その原因には多様な要因が絡んでいますが、どのような理由であれ、戦争は無数の苦しみを人々にもたらします。総務省の人口推計によると、戦後生まれの人の割合は2023年10月時点で87.9%となり、9割近くが「戦争を直接体験していない」世代となっています。先の大戦にて310万人という多くの尊いいのちが失われた先に、今の私たちは存在しています。私たちは何不自由ない現在の平和な日常が当たり前となり、日々の生活の中で平和について考え、行動する機会が少なくなっているのではないでしょうか。この節目の年に改めて、いのちの尊さについて学び、平和を守るために私たち一人ひとりに何ができるのかを考える時だと思います。また、地域を担う子どもたちが戦争の悲惨さや残酷さを学び、持続可能で平和な社会を築くために必要な人間力を育むことは、次世代のリーダーとしての資質を高めるだけでなく他者を思いやる利他の精神を培い、誰もが笑顔溢れる未来に繋がると確信します。

時代に即した組織を目指して

青年会議所は、20歳から40歳までの若者の集まりであり、一年間で役職が全て入れ替わる特性があります。この年齢制限や単年度制は、組織を常に若々しく保ち、新陳代謝を促すことで、革新を続けることができます。また、昨年はLOMの課題でもあった会員数の減少に対し、25名のメンバーを新たに迎えられたことは、組織にとって大きな財産となりました。しかしながら、近年のLOMの状況を見ると、毎年決まったメンバーが役職を担う傾向があり、固定のメンバーに対して負担がかかっている現状があります。JC宣言文にもあるように「持続可能な地域を創ることを誓う」青年会議所として、まずは、我々自身が継続的かつ安定的な組織を創る必要があります。そこで、今年度は、アカデミー会員(入会3年未満)が半数を占める中、時代に即した柔軟な組織を創るためにも、これまでの在り方に固執するのではなく、取捨選択を繰り返すことで、新しい技術や手法を積極的に組織に取り入れ、費用対効果や時間対効果を最大限に引き出して参ります。また、VUCAの時代だからこそサーバント・リーダーシップの概念を取り入れ、多様なバックグラウンドや経験、専門性を持つメンバーの個性を引き出し、誰もが活躍できる組織を目指すことは、青年会議所の未来を担うリーダーを育成するために不可欠です。そのためには新たな仲間を迎え入れ、組織をより多様で活力あるものにしていくことが重要です。

創立70 周年

島原青年会議所は設立70年を迎えるにあたり、この70年という長い歴史は、常に変化を恐れず、新たな挑戦を続けてこられた多くの先輩諸兄姉が紡いでこられた歴史と故郷に対する想いの結晶です。これまでの70年間に渡る努力と献身に対し、心からの感謝を捧げるとともに、我々の存在意義を今一度見つめ直し、再確認する必要があります。また、次世代に向けて何を残すべきか、島原青年会議所の伝統を守りつつも、新たな挑戦を恐れず、時代に即した取り組みを進め、未来へ繋いでいく必要があります。また、設立時から今日に至るまで地域の方々からのご理解とご協力があったからこそ繋ぐことができたのも事実です。我々だけでは実現困難な目的を効果的に達成していくためにも、これまで以上に地域の方々や行政、関係諸団体との連携を強化して参ります。そして、創立65周年の際に我々の新たな指針として「JCISHIMABARAVISIONto2025」を策定してから5年が経ちます。この5年間の運動の評価、検証をおこない、新たなビジョンをデザインし2030年に向け進化を遂げていきます。

結びに

2016年に入会して以来、私がJCに対して本気で取り組むことができたのは、諸先輩方やLOMに限らず、県内の同志と出会い、苦楽を共にすることで青年会議所の掲げる理念と活動の重要性に深く共感するようになったからです。今日に至るまでに考え方の違いからメンバーとぶつかり途中で投げ出しそうになった時もあれば、多くの仲間に支えられ事業後に涙したこともありました。そこには本気で地域をより良くしたいという想いがあったからです。
青年会議所が掲げる理念や価値観は、どのような時代においても皆が持ち続けるべきものであり、我々が直面するいかなる困難をも乗り越えていくための指針となります。我々は「希望をもたらす変革の起点」として、未来を切り開いていかなければなりません。いつの時代も未来を切り開いてきたのは、青年の力であると私は信じています。

「誰かが誰かのために行動できる唯一無二の団体」として

次の時代の可能性を拡げるための大きな一歩を、共に踏み出しましょう。